No9.「目明かし」の旦那につく「岡っ引き」
       ガイドラインにみる自民党の本音
                  藤 島 公 平      99. 5.18

 安保の実質的改訂とも、日米の臨戦体制化ともいわれるガイドラインを急ぐ自民党の本音はどこにあるのだろうか。

 私はアメリカという「目明かし」を自認する「旦那」にとりいって、当面「岡っ引き」から始めて、先では「目明かし」になりたい、というのが本音だと思っている。「目明かし」の方も何でも云うがままの「岡っ引き」がほしくてたまらないとき、互いに思いが通じたというものだ。

 とりあえずは誰を捕物しなければとはいわず、「盗っ人強盗のたぐいが近くにいるぞ」と世間をあおり、「だからおれ様が岡っ引きになるわけがあるのよ」といったあんばいだ。
 そして世間に目配せして威張りたがっている「目明かし」の旦那の下で「岡っ引き」となって働き、出世して、先ではせめてアジアで、できたらもっと範囲を広げて世界の「目明かし」に昇格したいと思っているのだろう。ただ世間の目があるのでいきなり「目明かし」では反発をかう。そこでまず「岡っ引き」からのデビューといったところだろう。

 ただしこの「岡っ引き」は半七や銭形の親分のように良い十手持ちとは限らない。
 まず、「目明かし」の旦那の云うことには忠実だが、庶民のことはあまり考えない、テレビによく出てくるめっぽう悪相の「岡っ引き」になりそうだ。あたり近所に探りを入れ、一々旦那に報告して可愛がられようとする。
 しかも背景には、この景気が悪い世の中、「武器商人」になりたくてたまらない豪商がついていて、お互いに「おぬしも悪よのぅ」の乗りで、互いに手を組んで儲けたいと思っている。つまり豪商の手助けとしてはたらき回る面ももった「岡っ引き」だ。
 「御代官様にとりいれば、武器はお上がすべて言い値で買い上げてくれて儲かるからのぅ」「しかも時には地域紛争とやらに介入して、いっぺんに在庫一掃セールもしてくれるやもしれん」「そうなると笑いがとまらんわなぁ、ふっふっふっ...」と豪商と「岡っ引き」の内緒話が聞こえてきそうである。

 そしていざ捕物となったときには、旦那に気に入られようと、この「岡っ引き」十手にものをいわせて庶民をかき集め、山狩りや炊き出しをさせようというわけだ。庶民は捕物の相手に恨みつらみは無いが、相手は「つかまてたまるかい」とばかりに手負いの猪のように、目の前の庶民に襲いかかってくるのは必定。少々庶民に死人やけが人がでても、捕物さえうまくいけば「岡っ引き」は鼻高々というわけだ。

 てな具合で、景気がわるくなれば、経済の軍事化というのは世の常。戦争になれば、大量の武器と商品と大量の失業者を消却でき、勝てば新たな商圏や権益が手に入る。ただし、昔の様に露骨な軍事国家は作れない。なぜなら回りにはうるさ方の国々があることは十分承知している。だから「岡っ引き」「目明かし」の地位を得て、「正義」の体裁が欲しいのである。ここに本音があると思う。
 しかもここでいう「正義」は「目明かし」が決めたルールでの「正義」であって、必ずしも国連の場などでいうルールと違うことが予想される。国連の「正義」も時には怪しいのに、「目明かし」の「正義」となると、まして何をか云わんやである。

 しかし、どんな体裁をとろうと戦争の前面に狩り出され、殺され殺し合うのは常にお互いの庶民だ。「目明かしや」「岡っ引き」は高見の見物というのが歴史的事実だ。現在ユーゴやその他でみられる悲惨な現実が証明している。しかも戦争経済は一般の経済を狂わせてきたのも歴史的事実である。アメリカがベトナム戦争で経済がガタガタになった事実は私たちが見た歴史的事実である。
 日本が世界で正義の体裁をとるとするならば、第二次大戦の教訓から得た憲法と、そのもとで曲がりなりにでも、半世紀にわたって平和的な外交をしてきたという点をこそ押し出すべきである。そして、現在の流れとは逆に、もっと積極的に平和外交に徹して活躍すべきだと思う。そのことが唯一日本だけが世界に誇る特徴となり、国の威信と信頼(アメリカの信頼は損なわれるかもしれないが)を世界から受け、円の地位も上がろうというものである。

                       99. 5.18
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