99. 7.15 藤島公平
私の母が脳梗塞で入院した。ある病院で手厚い治療をしていただいて一命を取りとめた。私たちは感謝した。
しかしその同じ病院から「3ヶ月以内に別の病院に転院して欲しい」とのお達しがあった。まだ治療が完全に済んでいない患者をなぜ転院させなければならないのかと疑問をもった。そして転院した先の病院からも2,3ヶ月中には次の病院を見つけて転院してくださいといわれる。つまり病人を2,3ヶ月ごとにたらい回しするのである。そしてもし次の病院がみつからない場合には、治療の必要な病人にもかかわらず、自宅に連れて帰るしかないというのである。
その理由は厚生省が98年秋から実施している、不安定患者の長期入院を、診療報酬面から病院に圧力をかけて、短期転院をしむけるシステムのためだという。昨年の秋というと自民党の小泉厚生大臣のときである。私は新聞は良く読んでいる方だか、そんな重要なことが決まっていたなど気がつかなかった。マスコミもほとんど注意を喚起するような報道はしていなかったと思う。私も自分の身近な者が入院してみて初めて知らされた現実である。
厚生省のこのような仕打ちは、「年寄りや重病患者は早く死ね」と宣告しているに等しい。「小泉よ! 厚生省の小役人どもよ! もしお前がその立場に立ったときのことを考えてみたことがあるのか」と怒鳴ってやりたい。
そして医者といわれる諸君に言いたい。「貴方が医者になりたいと思ったときの初心は、病院経営をどう旨くやるかということだったのか」と。もちろん病院も慈善事業では継続できないのは分かりきっている。しかし「重病患者を強制転院させることに心の痛みを感じないのか」と怒鳴ってやりたい。「あなたが医者として居続けたいのであれば、患者を守るために厚生省のやり方に、なぜ体を張ってでも抗議し、改善させようと求めなかったのか。また現在でも求めないのか」「それができないのであれば、医者という看板を自ら降ろしなさい」といいたい。
今、高齢者で重病になっている人々のほとんどが、戦前戦後の混乱期にやっとの思いで生き抜き、我慢、我慢で一生懸命仕事や子育て・家事に頑張ってきた人達だ。その人達の過去の社会貢献に対して、現在の私たちがこんな仕打ちで応えてよいのか。
政権党の政治家達も、厚生省の小役人たちも、よく考えろ。「日の丸」「君が代」で国民に愛国心がどうのと言う輩(やから)が、一方でこんな仕打ちをする。偽善者の典型である。こんな輩が政治をする国に愛国心など絶対にわかない。
心有る医療関係者にいいたい。私たち医療関係者でないものにも、厚生省に改善を求める道があったら教えてほしい。私はすぐにでもその道のために奮闘する決意でいる。
現在リストラとかなんだとか、経済の立て直しを理由にすれば何でも押し通れるような世の中になっている。そこには人間に対するやさしさなどどこにもない。現在の政治・経済状況はバブルの時の精神状況と全く同じである。バブルの時に非人間的(地上げなど)に踊った、そして躍らせた(政治家・大蔵省・銀行)連中が、その責任をとらず、今度はバブルの後始末の名目で非人間的なことをする。結局は無責任的御都合主義、非人間的経済主義が蔓延しているのである。
こんな日本の政治・経済は、何とかして変えなければ、次は、私や貴方が、非人間的な扱いをされたあげく、殺されてしまうのである。
99. 7.15