No36.中園文化施設についての見解と提案

                                    2002. 6.27  藤島公平


 中園文化施設についての見解と提案を述べさせていただきたいと思います。ただし私が所属する「文化交流プラザ計画の凍結を求める会」という市民団体とは関係のない、あくまでも私的意見であることを申し添えさせていただきます。

佐内前市長の責任

 まず、建物の工事が現在の状態まで進んでしまっている状態について、市長選挙の投票日までに既成事実を作って、前市長の後継者とされる人の選挙を有利にもっていくことを意図した無謀な突貫工事であった疑いがあると思っています。それは建設に当たっている企業体が事前に提出していた「工事工程表」と、現在の「工事工程実績」とに2カ月以上前倒しのズレが存在しているからです。このこと事は選挙結果に影響を与えるために、為政者が私的に財政負担行為を操作したということになれば、行政法上もまた公職選挙法上も問題になる重大問題です。
 その責任の追及は別途するとしまして、この場でいえることは、残念ながら中園施設については鉄骨の組立工事が完了しているような現状にあることは誰も否定できない事実となっているということです。

取り壊しの場合の財政負担

 もしこの現状で取り壊して更地にするとした場合、建築課の試算では53億円かかるということです。ではその財源はどうするかという問題が起こってきます。山口市がまた新たに借金を起こしてそれで支払って、何十年の分割返済するのかなという風に無意識に考えておられる方もおられるかもしれません。しかし、実際はそんな生易しいものではないと思います。
 市が借金するためには市債を起債する処理をしなければなりません。そのためには議会の同意が必要です。
 現在の市議会は大半が積極、消極の違いはあっても、佐内前市長の中園施設計画に賛成してきた経緯があります。そんなこともあってか先日、新市長が提案した助役・出納長人事を否決しています。この背景には中園問題だけでなく、様々と議会内の権力争い的なものも絡んでいるとは聞いていますが、いずれにしても合志市長の提案を簡単に承認するような議会の状況ではないようです。
 もし、起債、つまり借金がみとめられなければどうなるのか。その場合は、一般歳出財源で支払わなければならなくなります。山口市の年間歳出が400億円程度ですから、その内の53億円というと大変大きな支出になります。市の財政は一期に資金ショートすることは確実です。
 取り壊すということはその様な意味を現状ではもっているということです。

用途変更の場合の財政負担

 次に文化施設以外への用途変更の場合ですが、この場合は「地総債」を根拠とする起債ができなくなりますので、これも新たに議会の同意を得て、建設費の全額を山口市独自で起債しなければ支払は不可能となります。しかしこの場合も今の市議会が同意するとは到底思えません。この場合は建設費全体に係わる問題ですから取り壊す場合よりもことはより重大となります。

現状から出発せざるを得ない

 つまり、昨年の八月の工事着工前に計画を凍結できる情勢があったならば、計画を白紙撤回して、新市長の元で計画を練り直し、来年の春の市議会議員選挙で計画の是非を争点に議会の状況を変えることも可能だったとも思いますが、市長選挙中に建設を強引にすすめた疑いが濃厚な前市長の佐内氏の犯罪的ともいえる行為は許せませんが、リアルな現状は今説明したようなことなのです。

私の提案

 そのことを前提にして私なりに提案をさせていただきたいと思います。
 基本的な考え方は、あの中園施設を佐内前市長の墓標とする一面と、その犯罪的ともいえる行為により造られた建造物を市民の知恵で市民に役立つ施設としてよみがえらせたという市民参加の記念碑という一面をもった施設として完成させることです。

 その為には大きくいって、四つの柱を提案したいと思います。
@ 建設費を圧縮こと
A 建設後の運営費の圧縮と収益を確保すること
B 駐車場問題や交通アクセス問題に対処するため施設周辺の計画変更の可能性を残すこと
C 磯崎アトリエやその他の学芸員とされる外部のプロデューサーたちとの関係を白紙にすること
が必要だと思います。

@ 建設費の圧縮

 建設費については、まだ発注されていないメディアステーションについて、最低限のネットワークシステムを除いて、当面削除することを提案したいと思います。
 確かに図書館ではデジタルアーカイブ事業で欲しいという意見もあると思いますが、現在の計画にあるメディア関係はそのことを重視しているのかどうかも不明です。一端白紙にして今後の図書館活動の進展の中で導入について検討するということを提案します。
 メディアアートに至ってはやりたい人が自宅か自分の作業場で創作して、発表の場としてスタジオを使えばよいことでそのための各種のインターフェースを用意しておくことで十分だと思います。
 Aスタジオの椅子一脚が大変高価なドイツ製のものが候補に上がっているようですが、今、国内の景気低迷を考えた場合国内産のものでもっと安いものに変えてもらいたい。確かに座席は音響との関係もあるかとは思いますが、日本製でそのことに対応できないとは到底思えません。
 また談合疑惑も解決していません。建設業者と交渉し建設費を値切ることも必要だと思います。

A 建設後の運営費の圧縮と収益の確保

 建設後の運営費の圧縮と収益の確保については、例えばAスタジオ、Bスタジオを金食い虫から金のなる木に発想を変えて見直すことを提案したいと思います。
 例えばスタジオAはNHKやYAB、TYSなど地元マスメディアの公開収録スタジオとして共用又は貸し出しも行なうとか、特にNHKは今から建物を建設するわけですから、建設コストの圧縮を考えたら、今のうちから話をすすめておくことも可能だと思います。またメディア・ラボ機能こそNHKのようなマスメディアがすすめる事業であって中園地域の中で役割分担と共用をすすめることこそ情報化構想ではないのでしょうか。
 その他、演劇、舞踏、ロック演奏からファッションショー、結婚披露宴、まで多岐に利用できることから考えて、多用途に貸し出すことができると思います。
 スタジオBはカーテンボードにより大小の会議やホビー施設としての使用が可能にする
 アーティスト・イン・レジデンスについては「レジデンス機能がないから予定していません」というお話でしたが、湯田温泉に行政が費用負担で滞在させれば同じことです。
 ただし、これを最初から事業計画に組み込んでいるから問題なのであって、時によっては有名な音楽アーティストなどと地元アーティストの共催で創作と公演をしてもらうことを考えても良いのではないでしょうか。そのかわり費用は自己負担してもらうし、収益ももちろん考えての話です。
 デシダルアーカイブも歴史的資料の保存やデジタル図書館への変化の流れとの関係で必要だとは思います。その上でそれを事業として著作権を確保しつつ他市や県外、国外に販売していく、とか、が考えられると思います。まさに世界にタダで発信する必要はない、と思います。
 図書館はネットワーク機能を生かして県立図書館や山口大学図書館、産業振興財団のリテールサポートセンターのビジネス書など蔵書が重複しない購入や子供図書とか地元歴史資料図書とか特化してほしい。特にビジネス図書はリアルタイムが要求されるもので、その分野は産業振興財団のリテールサポートセンターの充実でやるべきだと思います。

B 施設周辺の計画変更の可能性を残すこと

 施設周辺については、せっかく事業化しているコミニティーバスと民間バスの相互乗り入れによる交通センター機能、施設内に行政の証明書類などの発券業務機能、観光案内機能、などを近い将来付設する条件を残すこと、を提案したいと思います。そのことで市民や市外からの訪問者が何かの用で立ち寄る施設としてまさに「賑わいのある」施設になると思います。

文化と事業

 行政が文化や芸術に対して発表などの環境の提供は必要なこととは思いますが、宮廷絵画や宮廷音楽のように、時の権力者の庇護のもとのような、行政の金をふんだんに使って文化芸術の創作をすることこそ現在にはそぐわない時代錯誤なことだと思います。
 山口で大内文化が強調されますが、大内文化は過去の歴史的遺産であり、山口の街のあり様の起源ともなるものですから重視されているのであって、大内の殿様的手法、つまり時の権力者が金にあかせて、雪舟やその他文人たちを招聘して文化活動をさせていたようなことを、現代に再現しようとすることではありません。

C 運営組織も見直すべき

 今まで述べてきましたような事業を企画運営会議だとか協議会だとか、専門委員会だとか、出来ては消え消えては何時の間にか復活する、ころころその中身も変わる、しかも役人がつくった路線にただ乗っかるだけで、経済的感覚もない運営組織では無理なことだと思います。従って、運営組織からして大きく変えていく必要があると思います。
 それと磯崎的なものとの決別がない限り大きな見直しは無理だと思います。過去にも見直しに応じてきたという説明もありましたが、彼の許容の範囲内での見直しであって、しかも何度も東京通いしてやっと応じてもらうようなことでは、イザの役に立たないと思います。磯崎アトリエやプレイベントに法外に支払ってきた報酬は山口市民の授業料としてあきらめるしかないのかな、と少し悔しいおもいですが、手をきるべきです。
 外部から来ている学芸員たちについても、もちろん全てがダメだと決め付けるのは良くないと思いますが、一端関係を白紙に戻した上で、山口市の側の主体性を持った事業計画を作成した上で、その計画にあった人選とプロデュースの範囲を決めていくことが大切です。しかも費用的にもいわれるままの請求に応じるような態度ではなくやってほしいと思います。いずれにしても初めから彼らに振り回されるのだけは、この際、きっぱりとやめるべきだと思います。


 最後に再度結論的なことを言うならば、財政上、実態上からして、悲しいかな現状の建造物から出発した文化施設を完成せざるを得ないということ。しかし、今までの官僚的な発想や一部のアーチスト的発想から転換して、市民参加による運営の発想で見直していきましょうという提案です。
 もちろん意見の違いは多々あるとは思いますが、議論することは過程としては大切なことですが、そのこと自身に目的があるのではなく、結果を出すことにあると思います。従って堂々めぐりになる議論だけは是非避けたいとの気持ちもあって「ナマイキナ」と思いの方もおられることとは思いつつ提案した次第です。ご理解ください。



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