2003. 1. 15 藤島公平
先日、日曜日に放送されるサンデープロジェクトをみていた。そこで特異な行政改革をしている自治体として神奈川県川崎市と愛知県高浜市のことが紹介されていた。
川崎市の公共工事の電子入札のことは前々からニュースで知っていた。電子入札で談合を排除し、経過として40数億円も公共工事費が節約できたという。確かに談合の排除は必要なことである。ただし完全競争状態にするのが、本当に企業の育成に役立つのかは今からの課題の様に思う。当面は仕事欲しさに利益度外視の入札が続くことが予想される。そのような中で本当に技術力・信用力のある地元の企業が生き残っていけるのか、それが心配だ。しかしこれも避けて通れない通過点だと思う。今からは各企業の腹構えと行政の側の地元企業育成に立った姿勢にかかっている。
同じく紹介された愛知県高浜市の例は、私には今後の地方自治のあり方を考える意味で、重要な示唆に富んだものだった。
市長自らが現場に出向く現場主義を貫いていること。役所といえどもマネジメント思考を導入していること。その典型が地元資源の活用、人でも設備でも組織でも、それを活かした事業をしていること。役所内企業を立ち上げ、役所サービスの外部化をはかっていること。そして何よりも役所機能をサービス業務と割り切っていること、福祉を「現代的な公共事業」と宣言する発想に驚かされた。
この高浜市で行なわれていることは、考えてみると当たり前のことを当たり前にやっているとも言える。それが今までの行政主導の政治システムの中で埋もれてしまっていただけのようにもみえる。しかしこの市長のリーダーシップ力と確たる戦略眼をもった姿勢に感動した。
彼の確たる信念は、一つは、「地元のことは地元で解決する。」である。住民でできることは住民の自治にまかせる。公園の草刈や河川の清掃などは住民の力で解決するということ。郷土愛は地元住民の実践から生まれ、その郷土愛が次の実践を生むという考えだ。
二つ目は、「役所はサービス事業であって、通常の企業と同じくマネジメント思考が必要である」ということだ。従って地元資源は徹底的に有効活用するということ。需要のないところには投資しない。つまりムダな箱物は造らない。施設が必要な場合も極力既存の建物を用途変更するという発想。老人世帯への宅配弁当についても、コスト割れするので嫌がっていた地元商店街を説得して、バリエーションのある食事の配達に変えていったという。そこにまた商店街の独自の工夫と、住民と商店街との新たな関係が生まれているともいう。
また「市民つまり『お客様』あっての役所であるという視点」。役所といえば市民に「施してやる」か「決めてやる」の発想が付きまといがちだし、市民も役所に「お願いする」、「役所に動いてもらった」という発想にたちがちである。高浜市ではその発想を根底からなくしている。
それらの実践は「言うは易し、行なうは難し」であるが、高浜市長が最後に言った言葉に尽くされている。「一端決めた大方針は絶対に堅持する、途中で何があってもぶれないこと」と。これは、柔軟性がなく頑なになるということとは違っている。市長自ら信念を確立してぶれずに進むから、部下たちも、市民も信頼してついてくる。だから新しい工夫・発想も、新しい行動も生まれてくる。これこそ重要な核心部分である。
高浜市の実践に今後の地方自治のあり方の方向性を見せてもらったように思う。