No44.「不良債権の早期処理」とはなにか
経済の実態を知らない「評論家」は去るべき


                                    2003. 5. 12  藤島公平

 最近NHKで経済問題の特集がもたれた。これをみていて一番に思うことは、経営者や現場で働く人たちと政治家も含めた「評論家」たちとの現状認識のギャップである。

「評論家」たちは小泉政権擁護の意識にとらわれているのか盛んに「不良債権処理を急ぐべきだ」の大合唱である。「構造改革無くして経済成長なし」の繰り返しである。

 構造改革とは何か。小泉首相が当初言っていた内容は、官僚が引き回す経済運営からの脱却であり、護送船団方式から自由競争への脱却であり、一部特殊法人の甘い汁体質の打破であったはず。  

 これらがこの数年大きく変わっただろうか。確かに護送船団方式はなくなったが、個別護送型の方式に切り替わっただけで護送方式には変化はない。特殊法人改革、掛け声の割には進んでいる様子はない。雇用促進事業団などに典型な様にいまだに野放図な運営がされている。

 仮に構造改革が進んだとしてそのことと経済成長とがどう結びつくのか。さっぱり分からない。構造改革は長い目でみれば日本経済の基礎的体力をつくるためには必要であるが、そのことが当面の景気回復とどう結びつくのか。

 また痛みをともなう構造改革といわれながら、痛みを感じる層が違っているのではないのか。今まで甘い汁をすすってきた層に痛みを感じさせるべきで、甘い汁と縁のなかった層に痛い思いをさせているところにも矛盾がある。

 また金融改革の目玉として不良債権処理を錦の御旗のように強調する。しかし不良債権と簡単にいうが前にも当ページで述べた様に、バブル時期のずさんな不良債権は今では主要ではなくなっていて、従来は不良債権とは言われなかったものが金融庁基準なるものの押し付けで無理やり不良化されているものが主になっているのである。

 負債を返済していても、「担保割れ」「条件変更」「負債に対する利益率割れ」など過去においては銀行でさえ正常債権とされたものまでも現状では不良債権とレッテルを張られている。

 これらの「不良債権」を「早期に処理せよ」とはどういうことか。昔でいえば正常債権先とされた企業さえもつぶせということになる。

 ことばの定義もあやふやにして論議を進めるのは御用学者の常とするところである。「規制緩和」についても規制の中身をあやふやにしたまま「規制緩和」と叫び国内の農業、商業、金融に混乱を起こしてきた。また「公共事業」悪者論も従来のゼネコン型公共投資に問題があったのであって一般の生活基盤型の公共事業一般が問題であったわけではない。「規制緩和」万能、「公共事業」悪者論といってきた「評論家」どもの程度の低さが今もまた問われている。

 NHKの「討論会」でも現場の方々の叫びの声を何と思っているのか。竹中金融担当大臣たちの空しい発言に怒りを覚える。

 竹中氏は「不良債権先を整理すべきといっているのではない」といいながら「不良債権の処理を急ぐべきである」という。これをどう合理化すればよいのか。よい方に理解すれば不良債権先を不良債権とされている基準から脱却するよう応援しようということか。それならば銀行は貸し渋りや貸しはがしなどがあるはずがない。

 また竹中氏を擁護するためにのみ存在しているのか買弁評論家が多すぎる。

 中小企業について一律に非効率とのべる女性評論家に至っては、実態を知らない風評的犯罪者である。中小企業一般がどう非効率なのか、その根拠もしめさず決め付けるのは論外である。仮に非効率であっても効率的に変えて行くための努力に対して資金支援と技術支援の仕組みが必要であるがそのことにも触れていない。

 竹中氏は、金融機関が貸し渋り、貸しはがしをするのは「企業をよく評価できない現場の銀行員にある」と、最後には銀行員の資質の問題にスリカエている。竹中金融担当大臣の無責任を感じる。現場の銀行員は金融庁の指導によってランク付けされた企業に対して支援しようにもできない仕組みの中におかれているのである。その仕組みを作った張本人が何を言うのかと怒りを覚える。

 売掛債権を担保に証券化し流動性を図るという言動については何をかいわんやである。場当たり的な思いつきでしかない。中小企業においては売掛金を回収するスピードが今問題なのではない。売り掛けの元である売り上げが少ないことにあるのである。こんなことを「マジメ?」に論議すること事態ナンセンスである。

 いずれにしてもすでに小泉内閣の「構造改革なくして経済成長なし」の政策の破綻は明確であり、竹中的金融再生もアメリカ資本を喜ばせるだけであり、まさに売国的政策である。

 すぐにこの政策を打ち切り、全国の中小企業に直接需要が行き届く、生活基盤型の社会資本投資である公共投資策を打ち出して、底辺から需要を喚起すべきである。



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