No47.日本経済の復活につながる人民元論議
目先の変化にとらわれるべきでない


                                     2003. 9.23  藤島公平

 当ページでかねてから主張していた (過去のページ No.43) 人民元の変動相場制への移行の問題がやっと世界の表舞台で論議されだした。今や遅きに失した感はあるが中国が国際的な市場経済にかかわる以上は当然のことである。

 ところが、人民元の変動相場制への移行に対して、日本国内の評論家や財界人などの間から反対の声が上がっている。その理由は、@人民元の切り上げによって中国からの輸入品の価格が急騰する。A今や日本国内に中国での生産に代替をする力はないので国内生産への切り替えが困難である。B日本企業の中国での生産に打撃を与える。などの理由である。

 しかし、これらの理由こそ手前勝手で、「国益」を無視した論理である。人民元の安さに踊って日本での生産を中国などアジアに移していった企業はある意味では日本という国の国益を投げ捨てていったことになる。日本人が営々として築き上げてきた技術水準やシステムを雇用とともにいとも簡単に切り捨て、国外に安売りしていったのである。もちろん親企業である大企業が先ず国外に移転したためしかたなく関連する中小企業も後を追うように国外に生産を移転していった事情もある。

 人民元が為替の国際水準から大幅に安く推移した原因は、ひとえに中国政府の自らの国益を重視した政治姿勢のためである。つまり国家統制経済政策にある。その政治力のお陰で、ある意味では日本の現地生産の企業家たちは恩恵を享受できてきたわけでもある。つまり自由主義経済を標榜する日本人企業が国家統制経済の恩恵を受けていたのである。

 今、自由市場経済原理がはたらいている国際経済の中で中国の製品も取引されている以上、人民元も当然の様に変動相場制に移行するべきといっているのである。中国に対してとんでもない規制を加えるというものではない。また日本経済にとっても日本国内の企業に対して何らかの保護政策を取ろうと言うものではない。あくまでも自由競争の環境に戻そうとしているだけである。

 人民元の変動相場制への移行が輸入品の価格の急騰につながるという。確かに一時的にはそうであろう。しかし、日本の中小企業は待ってましたとばかり失われた10年とも20年とも言われるブランクを取り戻すべく立ち上がるであろう。いや立ち上がらなくてはならない。中国の生産に代替する生産機能が日本から既になくなってしまったという論調はいただけない。生産立国日本のために失われた生産能力を新たな様式で復活させなければならない。10年20年前の姿でなく、技術革新を前提とした生産能力の復活である。

 経済評論家や財界人の皆さんに望みたいのは日本経済の生産能力回復のためエールを送ってほしいのである。日本経済が今の様に生産能力をどんどんと衰退させている現状をこのままよししていて将来の日本はどうなるのか。当面の一時的な経営環境の悪化を避けることばかり考えるのであれば目先だけで将来性を見通せない視野の狭さを露呈するだけではないか。

 海外に生産を移転させた企業は当然に為替リスクを考慮にいれながら判断していたはずである。中国の国家統制経済に保護される経営環境から本来の自由競争経済に復帰して、そのなかで相互に鍛えられるべきである。それが本来の市場経済の原理ではないか。



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