No72.新「会社法」の施行を来年に控えて
2005.11. 2 藤島公平
来年四月より新「会社法」が施行される予定です。「会社法」施行後は有限会社の設立はできなくなります。
1.現状が有限会社の場合
・施行後も有限会社(特例有限会社といいます)であり続けることはできます。
・株式会社への組織変更は簡単になります。ただし、一端、株式会社になったら有限会社に戻すことはできません。
◎株式会社へ変更することのメリット・デメリット
メリット
・ 増資せずに株式会社を名乗れる
デメリット
・ 組織変更の費用がかかる(登録免許税だけでも6万円)
・ 役員の任期を決めなければならない
・ 役員の任期が満了した都度に留任であっても登記が必要
・ 原則として決算の都度決算公告が必要になる
※ 有限会社のままでも、従来どおり増資や役員・社名・本店・目的などの変更はできます。また「会社法」で株式会社に適用される有利な点も多くは利用できます。
以上の理由のため、あわてて株式会社にする必要はないと思います。将来にわたって有限会社であり続ける方法もあります。
※ 将来も有限会社であるだけであれば、法律施行前に有限会社を設立して置く方法もあります。
2. 現状が株式会社の場合
◎ 株式の譲渡制限の規定のメリット・デメリット
施行後の株式会社では、株式の譲渡制限の規定があるかどうかが重要なポイントになります。譲渡制限とは株主が他に株式を譲渡する場合には会社の承認がいるとしている会社のことです。しかし、ほとんどの中小法人では既に譲渡制限の規定があると思います。
メリット
・ 株式の移動を規制できる(望ましくない者に買われるなどがない)
・ 取締役会の設置が任意
・ 役員の任期を10年まで伸長できる(現行、取締役2年、監査役4年)従って重任登記の費用が節約できる。
(但し、10年にしても10年後には登記が必要です。法律施行後最初の重任登記は従来どおり必要です)
デメリット
・ 株式の上場・公開ができない
・ 株式の譲渡希望者の希望を拒否する場合はその者が希望すれば、株式を時価価格で買い取る必要がある
※ 株式の譲渡制限を新たに決める場合は、特殊決議(総株主[株式ではない]の過半数が出席し、その持つ株式の三分の二以上の賛成)が必要です。
◎ 取締役会を設置しない場合のメリット・デメリット
株式会社では取締役会が設置されているのが普通ですが、取締役会を廃止することも可能です。取締役会を廃止するメリット・デメリットは
メリット
・ 取締役3名以上、監査役1名以上の規定がなくなります。無理して員数集めをする必要がなくなります。
(取締役が複数の場合、代表取締役を決めることには差しつかえありません)
・ 設置した場合に必要な三ヶ月に一回以上の取締役会の開催が不要
(取締役会議を重要視するといういみではデメリットかも知れませんが・・)
・ 取締役設置会社としての登記が不要です。
デメリット
・ 重要な決め事は株主総会で決めることになります。株主関係が複雑な場合は検討が必要なところです。
※ 取締役会が設置されていなくても、取締役による決め事が必要な場合は、「取締役の過半数の出席によってその過半数の賛成で決める」とする、取締役の会議の議事録は従来どおり必要です。
3. 合併などの場合は好機
会社を合併などで大きくしたいと考えている経営者にとっては「会社法」は様々活用することができるものです。
株式を上場や公開している会社以外でも株式交換や株式移転などの方法により他社を合併したり、他社と共同会社を設立したり、事業部門を独立した会社にしたりと手法は様々考えられます。
4. この際、定款の点検をしてみましょう。
その他、「会社法」では
・現物出資の範囲の拡大
・債務の資本化を容認
・機関会議(株主総会、取締役会など)の省略、簡略化
・決算公告がホームページでも可能
・配当時期、配当方法の拡大
などの変化があります。そのことの多くは定款で定めておく必要があります。定款の変更は株主総会で特別決議(過半数の株式を持つ株主の出席で、その三分の二以上の賛成)が必要ですから、定款を変更する必要がある場合はできるだけ集中しておこなった方がよいでしょう。
ただし、会社法が施行されてもすぐに対処しなければならないということではありません。
5. 「会社法」施行で要注意点
「会社法」施行後は、類似商号の規制がなくなります。そのため、同業者や悪意を持った者によって営業妨害を目的に、似たような住所地に、同一目的の同一商号の会社を設立される恐れもあります。
また、取引先についても、その社名、本店住所、代表取締役の氏名などは注意深く確認しないと、誤って別の会社との取引となっていたということもありえます。
「会社法」では資本の考え方が変わりますので、会社の規模をはかるのに、資本金の大きさではなく、自己資本の大きさでみることが重要になります。
6. 当事務所では早くから「会社法」の研究をしております。会社法に関する相談、質問を受け付けています。
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