No80.策士、策におぼれる

                                               2007.11. 6 藤島公平


  

 自民、民主の党首会談で大連立が論議されただの、挙句の果てには小澤民主党党首の辞任騒ぎなど、世間が騒々しい。
 党首会談を仕込んだのは、小澤民主党党首側だったとか、いや読売新聞の渡部主筆だったとか、色々憶測が飛び交っている。
 ただ、私は報道される現象を見る限りは小澤氏の負けである、と思った。

 策士が策で勝負する場合は、相手より多くの策を用意しなければならないし、相手に手の内を見られても不利である。A案,B案,C案・・・、上策、下策を用意して臨んで、先ず、A案を相手にぶつけて、相手の出方をみて、相手が当初予定したとおり、想定案で来たとするならばしめたものである。しかし相手もさる者、想定案にダッシュを付けた変化球で応じてきたりする。その場合、相手の案に応じるようにしつつ、予定していたB案を提案していく、といった具合である。碁や将棋の勝負と同じである。

 その丁々発止の勝負で、案の尽きた方が、勝負の緊張感に耐え切れなくなって勝負の場を外に求めようとする。闘犬の負け犬が仕切りから飛び出そうとする様に。

 小澤氏の辞任騒ぎは、「負けを認めた」のか、それともまだC,D案への伏線をもった策なのか、と評論が騒々しい。しかし、策士同士の戦いで、先に策の内容や舞台裏を白状した方はやはり負けである。少なくとも福田氏は、何も言っていない分、小澤氏より後の展開がより自由である。

 ましてや、渡部氏にいたっては、直接政治に関っているわけではないので、最後まで知らぬ顔を貫き通せる。福田氏にせよ渡部氏にせよ、初期の目的を達成していようが、達成できなかったにせよ、結果として自分は知らぬ存ぜぬで、相手を窮地に追い込んだという点では、相手より優位な場所に立てている。

 小澤氏の策に走りやすい特性を見破られて策を弄された感じである。小澤氏は福田氏や渡部氏に比べてまだまだ狸にはなりきれていないのであろう。

 ただ、私たちにとってはいい迷惑である。民主党の地方政治に目を向けた政策に少しは期待していたが、それどころでないような泥沼になってしまっている。

「狸の力量もないのに、個人プレーで策を弄するなよ」といいたくなる。
 ただ、仕事柄交渉ごとが多い私にとっては他山の石としなければならないと思った。




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